竹内浩一の世界
―生きとし生けるもの、その美と心―

展覧会概要

2012年春に桜の名所である目黒川のほとりに開館した郷さくら美術館 は、桜を描いた作品の常設展示室を設けることで、美術愛好家のみならず、多くの皆様に「いつでも桜が見られる美術館」として、繰り返しご来館を頂いております。現代日本画ファンをはじめとする、いつも当館にご来館頂く皆様のご期待にお応えすべく、今回は、京都画壇を代表する日本画家・竹内浩一先生の個展を開催いたします。

本展では全5作の連作からなる「鳥獣戯画」シリーズを中心に、繊細な筆致により描かれた動物たちや、土の匂いの残る素朴な植物の絵画など、「竹内浩一の世界」を存分に楽しんで頂ける展覧会となります。周りの空気や微風、風音、気配といった目に見えない雰囲気そのものを表現しようとする竹内浩一先生の作品を、どうぞお楽しみください。

開催に寄せて

「いまの私」

暦で言うと喜寿になった。只々、泣き笑いの77年だった。

絵の道に入ったのは、日本画への憧れでも、描く至福のためでもなく、自己の屈折した性分をなんとしたいためだった。

若いころ父の本箱にあった、水上勉の小説「雁の寺」を読んで衝撃を受けた。禅を逆なでするような人間の生理の表現だったが、二律背反にある「煩悩是菩提」を真っ向から描かれていて興味を持った。

我流で描いてきた日本画だったが、三十代の半ばもう一度本質を問い直す岐路を感じた。台湾の故宮博物館でみた、范寛や梁楷の水墨画、そして李迪の花鳥画は、精緻で精神性の高い心技の極みがあり、自分なりに取り入れやり直せそうに思った。写生に集中しもののかたちを写すのではなく自然の息づきを捉え自らの生命を感じられるように努めた。無心に描くと理屈ではない充実感はあった。同じころ長岡禅塾の半頭大雅老師に禅哲学の講義を受けるようになった。六感から九感に至る心身のあり方を教わった。自己に徹し深い行をかさねれば畏怖の空間がみえることも知ったのだが。

一途な日本画の制作だったが、歪な性格は一向に治らず、描いてきた絵は九識の境地にはほど遠く、ペーソスに終始した切ない絵ばかりしか描けなかった。

竹内浩一

竹内浩一 略歴

1941年 京都府京都市に生まれる
1960年 京都市立日吉ヶ丘高校日本画科(現 銅駝美術工芸学校)卒業
1966年 山口華楊に師事
1967年 第10回日展 初入選('79年特選・文化庁買い上げ)
1977年 第4回山種美術館賞展 大賞受賞
1984年 日本画研究グループ「横の会」結成[以後'93年最終展まで]
1995年 京都造形芸術大学教授就任
1996年 第9回MOA美術館岡田茂吉大賞展 大賞受賞
2002年 京都市立芸術大学教授就任
2005年 日本画研究グループ「星星会」結成[以後'15年最終展まで]
2010年 京都市文化功労賞受賞
2016年 大徳寺 芳春院の方丈に襖絵(72面)を描く


展 示 作 品

上から1段目:《戯画猿来迎》2003年、2段目:《戯画游》2001年、3段目:《戯画女郎蜘蛛とねこ》2005年、4段目:《戯画雨中鯰遊図》2004年、5段目:《戯画釣名人》2009年

関連イベント

■ 竹内浩一氏アーティストトーク

・第1回:2018年12月8日

・第2回:2019年1月12日

・第3回:2019年2月16日

■ 学芸員によるギャラリートーク

・第1回:2018年12月22日

・第2回:2019年1月26日

・第3回:2019年2月23日

※両イベント共に土曜、午後2時より開催。予約不要、参加費無料(要当日入館券)

アクセス

東京都目黒区上目黒1-7-13 TEL:03-3496-1771
東急東横線、東京メトロ日比谷線 中目黒駅より徒歩5分

1、中目黒駅中央改札、正面出口を出て目の前の信号を渡ります。

2、山手通り沿いに左手に進み、次の信号の角を右に曲がります。

3、まっすぐ進み、別所橋を渡り目黒川を越えてください。

4、さらに進み、ガソリンスタンドの隣にある黒い建物が当館です。